小説『暴走する正義』~第1章・2

ミッツはソーシャルネットワークアプリ『zin』を開いてコメント書いていた。

~すみません、以前DM送ったミッションですが今回いけそうにないです、次回行ける様に調整します~ミッツは(ミッション)送信して一息つく。

ミッツの後姿をシュンは見送った。俺はまた明日が早い・・・・はぁ電車内から見える

夜景を見ながら考える、明日は雨かな?

 

~翌朝~朝5時前には起きるようにしている。・・・やはり雨だ、雨音で目が覚めたのか自発的に目が覚めたのか?わからない目覚まし時計のセットした時間より少し早く目が覚めた。・・・はぁ雨か・・・コーヒー飲んで準備入る、駅まで自転車でいく。傘は一応持って行く。遅刻は出来ないスーパーマーケットのカギを預かってるからだ。絶対に遅刻はあり得ない、否、どの世界でも遅刻は厳禁だが・・・ひんやり肌に刺さる冷たさに負けまいと自転車を漕いでいく。夜空にまだ星が出ている。時折住宅街から車で走行中の車とすれ違い駅に向かうとコンビニ以外は物静かだ。駅のホームでスマホのメールを開く、エノさんからだ。

 

~今日、新人を送りますんで入り口前で待っていてください~エノ

 

あぁ~そうだったまた教えないといけない。まぁいつもの事だ・・・スーパーマーケットの最寄り駅に到着した。『ふあぁ~(=_=)』大きな欠伸をする。スーパーの一口前にはエノさんと新人のオジサンが立っていた。『おはようございます』『シュンさん、この人が山田さんです』『山田です、宜しくお願いします』とエノさんは紹介してさっさと帰ってしまった(きっと忙しいんだろう?)『田中駿です宜しくお願いしますでは行きましょうか?』と連れて行く。『まず入ったら納品口の電気付けて、ここで着替えます』分電盤など設置してる備品庫に連れて行く。デスクと机と予定表とノートが置いてある。そこで着替える。僕はさっと着替えてノートを見る、特に新しい情報がない。通常運転か~よかった~『山田さん、メモ取りたかったら遠慮なくとってください、あと分からない事あったら聴いて下さい』『はい』着替えて納品口に入る。まず納品口のシャッターをあける為に向かう。『山田さんは以前何をされていたんですか?』『事務職してましたが辞めました』不思議そうに『えっ、そうなんですかなんでまたこの業界に?体力使う事が多いですよ』『元々身体を動かすのは嫌いではなかったんです、ウォーキングもしてましたし同じ業界にいくよりいかな?と思いまして』そんな雑談をしながら従業員通路の電気を付ける。『次はこの従業員通路の電気を付けます。』通路、男女のトイレ、奥にある店長室と休憩室。僕らは休憩室に入り電気を付けると『この自販機で飲みたい時はジュースでも買えます、昼休憩にでも!』『はい』真面目そうな人だ!こういう人なら続くかな?とも感じた(大抵裏切られるんだが、人の見た目とは分からないもんだ)

駐車場につながる、通路を案内してから一通り歩いて納品口に戻る。既にトラックがゲートを降ろして納品始めている。『シュン、おはよう!』『おはようございます』仲のいいドライバーさんが店内に納品してから戻ってきていた。山田さんは後ろに付いてきている。『じゃぁ山田さん次は外に出ましょう』と連れて行く。店頭から周囲を巡回がてらに異変ないか調べつつカラーコーンを設置と確認の作業だ。山田さんは熱心にメモを取っている。続々、納品業者が入ってくる。暫くして、店長が入ってきた。

『おはようございます、彼は新人です、宜しくお願いします』『おはよう、おっそうなんだ宜しくお願いします』少し後方にいた山田も挨拶をする。続々従業員が入ってくる。

『山田さん、小雨が降ってるけど寒いから体調は気を付けてください、それと誘導する時は白手を忘れずに』『はい』『今少し時間あるから誘導のやり方、簡単に言いますね、あとでちゃんと説明しますから付いてきて』と納品口前の歩道に一緒に向かった。

外には納品待ちのトラックが2台来ている。僕はドライバーさんにちょい声掛けに行った。『もうちょいで終わると思いますんで少し待っててください』青果のトラックに声掛けた。駅に向かうサラリーマン、酔っ払いの学生、が通った以外誰も通らない、小雨がパラパラ落ちてくる程度。幹線道路でも車もそこまで多くない。『じゃぁ、普段はやらないけど納品者の誘導やりますから1回見ていてください』と山田さんを歩道の端に立ってもらい、僕は納品口に正対する。

そろそろ2台目が、出そうなタイミングだからだ丁度いい。エンジンがかかりドライバーさんが車に乗り込むタイミングを見計らい、僕はまず歩道の左右を確認する。サラリーマンが横切るので車道に出てドライバーさんに静止の合図を送る。車道の方では車がやってきた、ので1回歩道に戻る。もう一度仕切り直しだ。車道を走る車が通り過ぎる。もう一度歩道を見る、今度は左右人がいない良いタイミングだ。僕は車道に出て車が来ないんで出庫OKの合図を出す。納品車が出ていく。待機中の2台目のお米屋さんの車両のエンジンがかかる。それと同時に僕は歩道に戻り確認する、お米屋さんの車両が頭を振り後方から入る、歩道から、学生風の2人組が歩いてきた。ドライバーさんの右側ミラーに見える位置に入り、すかさず停止の合図を送る。一瞬ドライバーさんも止まる。再度左右確認して僕はOKの合図と共に、お米屋さんの車両はゆっくり納品口に入る。そして僕は山田さんの方に向かって歩いて行った。

『山田さんどうですか?誘導の流れは大体、こんな感じです』目を丸くしていた山田さんが口を開く『難しそうですね、やれるかな?』小雨の中制服着た2人の会話が続く。

『そうですね大きく分けると、まず歩行者の確認、次に車道の来るタイミング、出庫OKなら安全確認して出してあげる、無理なら止める、それでOKなら出してあげる感じです』山田さんはうなずいてる。

『朝だから歩行者も車道の車も多くないですが日中はそうもいかないから慣れるまで大変かもしれません、でもこれが誘導の基本的な動きです』『難しそうですね』『まぁ最初は誰でもそう思います、車道にも人生で出る事はめったにないですしね』『そうですね』

『この仕事、真逆の視点に立ちます、車道には頻繁にでるし、不審者がいたら依頼があればマークします、子どもの頃言われた事あると思います、車道に出てはいけません、変な人に付いていってはいけません、てね!』山田さんが頷く。『確かに』『じゃぁ詰め所に戻りましょうか?』とまた連れて行く。連絡ノートに目を通す!時間は8:30過ぎだ、そろそろ我々の立哨の時間がくる。駐車場にお客さんの車がもうすぐ入ってくるころだな・・・数台車が入ってる音がする。『緊張してます?』一応聞いてみる『道路には出ないですからね~』『まぁ直ぐなれますよ!大丈夫ですそろそろ行きましょうか』とレインコートを山田さんにも渡す。自分も着て外に向かう。

『じゃぁ山田さんは歩道にいて歩行者の動きを見てください、出庫、入庫のタイミングで歩行者を止めて下さい、一つ注意点は強制力がない事は覚えていてください』『はい』と短く答えつつも緊張してるのが伝わった。『本来は声掛けしないんですが説明かねてやりますね、慣れて下さいね』と僕は歩道と車道の間の段差辺りに立つ。小雨のせいか車が入って来るし歩行者も時折通り過ぎるのを捌いていく。歩道に並行して立ちながら『じゃぁ山田さん歩行者止めてと合図出すんで声掛けして止めて下さい、研修したとおりに!』『はい』と声掛けする間にも車は入ってきて歩行者は通る。この時、絶対に僕は山田さんを見ない様にしている。歩行者と入庫する車と、出庫する車をみてるからだ。観察してると声は出てるし停止を促す手の動きもいい。暫くやっていたらなれるだろう、午後は車道に出してみるか?

 

雨がシトシト降り続く、制服の上にレインコート着ていても寒いのは変わりない。まぁこっちとしては慣れたもんだ、だがギコチナイ山田さんも何とか頑張って周囲を見ているしちゃんと声かけもしている、今度は大丈夫かな?この半年で何人辞めたんだっけ?そんな事ボンヤリ考えていた、まぁどうでもいいしそれは仕方ない事だ。今日は昼から誰が来るんだろう?本当は日中は3人体制だ、休憩回しとその後は店内巡回定期的にはいる。山崎光朗がやってきたそう、ミッツだ!『よっ!』『おおおおっ!』と僕は車道から声をかける。今日は楽しくなりそうだ!ミッツは裏の詰め所に向かって着替えに入る。不思議そうに見る山田さん『あっ、もう一人の日勤者です、あとで紹介します』こんな雑談以外は殆ど2人で『ありがとうございました』『少々お待ちください』『いらっしゃいませ』の言葉しか出て来ない。ある意味平和だ。手がかじかんで寒いけど・・・そしてこの後、僕らの見せ場がやってくるとは・・・・